同一労働同一賃金 改正概要②

前回のつづき

令和8年10月1日に施行される同一労働同一賃金ガイドラインの改正では、近年の最高裁判例を踏まえ、「待遇差を設けること」よりも、「待遇差を合理的に説明できること」が重視されています。

合理的に説明=手当は何を目的に支給しているか、です。

そのため、就業規則や賃金規程についても、単に支給額を記載するだけではなく、支給目的・支給対象・支給基準を明確に規定しておくことが重要になります。

今回は、よくある各種手当について、見直しのポイントをご紹介します。

〇住宅手当

住宅手当の目的が「住宅費の補助」である場合、同じように住宅費を負担している短時間・有期雇用労働者を一律に対象外とする理由を説明することは容易ではありません。

×よくある規定

家賃を負担している正社員については住宅手当として月20,000円を支給する。

これでは、「なぜ正社員だけなのか」が説明できません。

〇改定例

住宅手当は、従業員の住宅費負担を軽減し、安心して就業できる環境を整備することを目的として支給する。支給対象者及び支給額は、住宅費負担の状況、勤務形態、所定労働時間その他会社が定める基準による。

〇家族手当

家族手当も、支給目的が重要になります。

生活補助を目的としているのであれば、扶養家族の有無が判断基準となるため、雇用形態だけで支給対象を区別することは慎重に検討する必要があります。

〇改定例

家族手当は、扶養家族を有する従業員の生活支援を目的として支給する。支給対象者は扶養親族の有無その他会社が定める基準により決定する。

〇資格手当

資格手当は比較的説明しやすい手当ですが、「資格を持っているだけ」なのか、「実際に業務で活用している」のかを明確にしておくことが重要です。

〇改定例

資格手当は、業務遂行に必要な知識及び技能を有し、会社が指定する資格を保有し、当該資格を業務で活用している従業員に対して支給する。

〇役職手当

役職手当は、管理監督責任に対する対価であることを明確にしましょう。

〇改定例

役職手当は、役職に応じて求められる職務遂行責任、部下の指導育成、業務管理その他会社が指定する管理業務を担う従業員に支給する。

〇皆勤手当・精勤手当

近年は見直しを行う企業が増えている手当です。欠勤防止を目的とする場合は、目的を明確に記載しておくことが望まれます。

〇規定例

精勤手当は、所定労働日における安定した勤務を促進し、円滑な事業運営に寄与した従業員に対して支給する。

〇通勤手当

通勤手当は福利厚生ではなく、通勤に要する実費を補填する性格を持っています。そのため、実際に通勤しているのであれば、雇用形態のみを理由として支給しないことは合理性を説明しにくい場合があります。

〇規定例

通勤手当は、通勤に要する費用を補填する目的で支給する。支給対象者及び支給額は、通勤方法、通勤距離及び通勤費用等を勘案して会社が定める。

〇「調整手当」「業務手当」など説明できない手当は特に注意!

  • 調整手当
  • 業務手当
  • 特別手当

これらは長年運用されている企業も多く、担当者へ質問すると、「昔からあります。」という回答になることも珍しくありません。しかし、支給目的が説明できない手当は、同一労働同一賃金の観点からも見直しの優先順位が高いといえます。もし目的が明確でない場合には、制度趣旨を整理した上で名称や支給基準も含めて再設計することをおすすめします。

みなさんの会社で「なんとなく存在している」手当はありませんか?制度・規定をみなおしましょう。

名古屋守山区 特定社会保険労務士

吉川 未佐子

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