憲法記念日に憲法のおはなし

少し前の話ですが、成年後見人にも登録し、興味のある話題なのでとりあげます

令和8年2月18日、最高裁大法廷は、警備業法に存在していた「被保佐人は警備員になることができない」という欠格条項について、「憲法違反に至っていた」と判断しました。

法令が憲法違反であると判断されたのは戦後で14例目となります。(一例目は尊属殺人罪について、一番新しいのは旧優生保護法のの強制赴任手術をめぐる条項です)

【事件の概要】

軽度の知的障害がある男性が、警備会社で交通誘導業務に従事していました。ところが平成29年、その方について「保佐開始」の審判が確定しました。

当時の警備業法では、成年被後見人・被保佐人は警備員になることができないとされており、警備会社はその方との雇用契約を終了しました。つまり、「実際に仕事ができるかどうか」ではなく、「被保佐人という法的地位にあるかどうか」だけで、警備業務に従事できなくなったのです。

これに対し本人側は、この法律は憲法違反であり、国が法律改正をしなかったことも違法であるとして、国を提訴しました。

【事件の概要】

この事件では、軽度の知的障害がある男性が、警備会社で交通誘導業務に従事していました。ところが平成29年、その方について「保佐開始」の審判が確定しました。

当時の警備業法では、成年被後見人・被保佐人は警備員になることができないとされており、警備会社はその方との雇用契約を終了しました。

つまり、「実際に仕事ができるかどうか」ではなく、「被保佐人という法的地位にあるかどうか」だけで、警備業務に従事できなくなったのです。

これに対し本人側は、この法律は憲法違反であり、国が法律改正をしなかったことも違法であるとして、国を提訴しました。

【成年後見制度とは?】

成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が低下した人を支援する制度です。その中で「保佐」は、「判断能力が著しく不十分」とされる場合に利用される制度です。ただ、支援を受ければ契約の意味内容を理解・判断でき、当然、すべての能力が失われるわけではありませんし、日常生活を送れる、就労できる、特定の仕事は問題なく遂行できるケースも多く存在します。

今回の事件でも、本人は実際に交通誘導業務を行っていました。

【なぜこの欠格条項が問題になったのか】

今回問題となったのは、「個別判断をしない」という点です。

当時の法律では、実際に業務遂行能力があるか、安全に仕事ができるか、配慮によって就労可能かなどを一切考慮せず、「被保佐人である」という事実だけで警備員になることが禁止されていました。

最高裁は、この点を重く見ています。

【最高裁の判断】

最高裁はまず、この規定が憲法22条1項の「職業選択の自由」を強く制限していると判断しました。

警備員になること自体を禁止しているため、「働き方の制限」ではなく、「職業そのものへの参加禁止」にあたると指摘しています。さらに最高裁は、「精神上の障害を理由として一律に排除している」点について、憲法14条の「法の下の平等」にも関係すると判断しました。

そして、警備業務に必要な能力を持つ人まで排除している、個別判断をしていない、一律制限は行き過ぎであるとして、違憲に至っていたと判断しました。

【社会の変化を重視】

今回の判決では、障害者権利条約、障害者差別解消法、障害者雇用促進法などの整備を通じて、「障害がある=できない」ではなく、「必要な支援や配慮を前提に能力を個別判断する」という方向へ社会が変化していることが重視されました。

最高裁は、この社会的変化を踏まえ、「もはや一律排除は許されない」と判断しています。

 今回の判決で重要なのは、「形式だけで排除してはいけない」という点です。

企業運営についての一般論としても、精神疾患があるから不採用、発達障害があるから難しい、成年後見制度利用者は不可といった一律的判断は、今後さらにリスクが高まる可能性があります。

実態が大事です

名古屋市守山区 特定社会保険労務士

吉川 未佐子

この記事を書いた人