最高気温が30度を超えるころから問い合わせをいただいておりました、「結局年収の壁はどうなったのですか?」問題、最低賃金改定金額がでてさらに問い合わせが増えそうですので、自分のためにも論点整理(わたくしは税理士ではありませんので、個別相談の場合でも一般的な制度説明のみとさせていただきます)
説明が長いので結論を先に、
昨年まで103万円の壁だったものが123万円の壁に、所得税がかかるかどうかは160万円の壁になります。 ただ、配偶者で123万円が壁になるかどうかは、扶養者の会社の家族手当の支給がどのようになるかを確認してください。社会保険の壁は今まで通り。以上!

そもそも所得税は、所得にかかる税金になります。では「所得」とは何か?ですが、これは「収入-支出=利益」に税金がかかる法人税と同じと考えればわかりやすいかと。
法人の収入とは多くは売上ですが、個人(給与所得者)の場合は給与の金額=収入になります。では経費は?給与所得者も給与という売り上げを上げるために経費が発生している(会社に行くための車代や、勉強のための書籍代など…)ので実費を確定申告することもできますが、多くの方は国が「これくらいの給与収入がある人はこれだけ経費を認めてあげるよ」という金額がありそれを経費として計上しています。
法人の場合は、収入ー支出=利益で利益に税金をかければよいのですが、人間は生きていくために衣食住が必要です。最低限の衣食住にかかる経費に税金を計上したら生きていけなくなってしまいます。その生きていくために必要な最低経費にも税金はかかりません。
この経費に相当する額が「給与所得控除」最低限の必要経費が「基礎控除」になります。
その金額が
- 給与所得控除 令和6年最低保証額55万円 → 令和7年より65万円
- 基礎控除 令和6年48万円 →
- 合計所得⾦額132万円以下 : 95万円
- 合計所得⾦額132万円超336万円以下 : 88万円(令和9年分以後は58万円)
- 合計所得⾦額336万円超489万円以下 : 68万円(令和9年分以後は58万円)
- 合計所得⾦額489万円超655万円以下 : 63万円(令和9年分以後は58万円)
- 合計所得⾦額655万円超2,350万円以下 : 58万円
になりました。
なので給与197万円までの方は65万円+95万円=160万円までが所得税非課税となります。ただ、扶養親族及び同⼀⽣計配偶者の合計所得⾦額の要件:58万円以下(改正前:48万円以下)となるので、税法上の不要となるには123万円となります。
わかりにくい! 説明しにくい!だから「前年と同じで103万円でよいですか?」という質問が来るのです。壁をなくしたいのなら、制度シンプルにしてくださいよー。トホー(:_;)
税理士の方等で何か補足・修正があれば教えてください
名古屋市守山区 特定社会保険労務士
吉川未佐子