年末から年度末にかけて多くの企業様が36協定などの来年度の協定を締結する時期になるかと思います。
締結には労働者の過半数で組織する労働組合、その労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者(以下「労働者代表」とします)との書面による協定が必要です。この機会に「労働者代表」について理解してみましょう。
労働基準法の労働者代表になる要件は、
- 労働者の過半数を代表するもの
- 協定を締結するための過半数代表者を選出することを明らかにしたうえで投票・挙手等により選出すること
- 労働基準法第41条第2号に該当する管理監督者ではないこと
になります。
労働者の過半数を代表とは、正社員だけでなくパートアルバイトを含めたすべての労働者の過半数を代表していることを指します。「投票・挙手等」とは、労働者の過半数がその人の選出を支持していることが明確になる民主的な手続(投票、挙手、労働者による話し合い、持ち回り決議)がとられている必要があります。会社が勝手に決めた人などは当然労働者代表にはなりません。
そもそも、なぜ労働者代表が必要なのかといいますと、労使コミュニケーションを図り、よりよい労働条件を設定や、会社の実情に即した労働基準法例外規定の採用の締結等、話し合いにより、労使ともに納得感のある労働条件とするためです。(労働組合がない場合は、会社はだれと労働条件の話し合いをすればよいのかわからないので過半数代表を話をする、という訳です)
ただ、労働者代表については課題も多く、令和6年9月4日に公表された労働基準関係法制研究会第12回資料によると、
労働者代表者に関する課題については
・ 適切な選出が行われていない可能性があること
・ 労使コミュニケーションに関する知識や経験等の欠如により、労働者代表者の担い手が確保できないこと
・ 労働者代表者を引き受ける労働者にとって、重い負担となっていること
・ 実質的な労使コミュニケーションの担い手として機能していないと考えられる側面があること
等が考えられる。
とあげています
適切な選出がされていないというのは、先述の「会社が決めた代表」などの民主的な方法がとられていないことを言います。ただ、「民主的な方法って何?」となると現状は「話し合いでOK」になってしまします。そして、労働者代表としての業務に真摯に向き合うと非常に業務負担や求められる知識が重くなります(会社と労働条件についての話し合いをするというの業務内容上、会社に不利な要求したり、労働法令の知識が必要となります)。逆に、逆に何をすればわからない人が労働者代表になって会社に意見をいう事ができません。
そのため今後の改定として、①過半数代表者の選出方法を行政から明確化する②複数代表の選出を推奨、可能と明示していく③過半数代表に意見集約する制度構築④過半数代表に対する教育義務
等の制度が検討されています。

労働者代表の役割が今後増えることになりそうですね。
昔、「話し合いにより労働者代表を決める会議」に出席したことがありますが(アドバイザーとして)本当にだれも立候補せず、意見を言わず、全員が「なんとなくやだ」わたくしが説明した後は「めんどくさいからヤダ」「誰かに押し付けたらパワハラになる」という重い空気が流れました。
私の説明が悪かったのかしら?(T_T)
名古屋市守山区 特定社会保険労務士
吉川 未佐子