「在宅勤務手当」活用されていますか?

一時期のブームにが過ぎ去った後ですが、一つの働き方として定着しつつある在宅勤務(テレワーク)で支給される「在宅勤務手当」ですが、厚生労働省は令和6年4月5日「割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取り扱いについて」(令6.4.5基発0405第6号)を通達しました。

内容としては、いわゆる在宅勤務手当が、事業経営の為に必要な実費を弁償するものとして支給されていると整理されている場合には、当該在宅勤務手当については法第11条に規定する賃金に該当せず、割増賃金の基礎となる賃金への参入は要しない、となっています。

で、ここで肝となる実費弁償の考え方ですが、

  1. 国税庁「在宅勤務に係る費用負担に関するFAQ(源泉所得関係)」で示されている計算方法
  2. (1)の一部を簡略化した計算方法
  3. 実費の一部を補足する元して支給する額の単価をあらかじめ定める方法

あります。

「在宅勤務に係る費用負担に関するFAQ(源泉所得関係)」での計算方法は、例えば電気代の場合

業務為に使用した基本料金や電気使用料=従業員が負担した1ヶ月の基本料金や電気使用料×(業務の為に使用した部屋の床面積/自宅の床面積)×(1ヶ月の在宅勤務日数/該当月の日数)×1/2 ※

※1/2というのは1日の内、睡眠時間を除いた時間に占める労働時間の割合

となっています。ちなみに、この計算方法にて費用の実費相当額を精算する方法で支給する場合、所得税として加入する必要はありません(FAQ 問1)

2.の場合の一部簡略化の方法は、数か月の平均を上記の方法で計算した金額を一定期間支給するという方法です

3.の場合は、一定人数の平均金額から1日単価を割り出して定める方法になります

どの方法によるにしても、実費負担がいくらであるかを一度計算する必要がありますね

※すでに支給している在宅勤務手当を計算しなおすことにより、手当額、割増賃金額が減少する場合、不利益変更となりますので、労使での十分な話し合いが必要となります。

名古屋市守山区 特定社会保険労務士

吉川未佐子

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