いよいよ始まる2024

トラック運送業の来年度協定書の準備中です。

2024年4月からトラック運送業についても働き方改革関連法施行により、トラック運転者の「改善基準告示」が改正され、時間外労働の上限規制等が適用されます。この規制により物流が滞る恐れが出ているのが「2024年問題」と称されるものです。お客様に説明をした際にも「中小の運送業では仕事がまわらない」「ドライバーの歩合が減る」「利益がでない」などのお話を頂きます。 

 実際、運送業の状況はかなり深刻で、東北運輸局のサイトによると「2024年問題においてはドライバー不足や輸送力の低下が懸念されており、2030年には輸送力の供給不足により「全国で約35%の荷物が運べなくなる」と試算されています。」と言われており、業界全体のだけでなく、社会・経済問題に発展しかねません。

では、2024年に改善基準告示どのように変わるかというと以下のようになります(概要)

  • 1年の拘束時間 改定前 3516時間 → 改正後 原則:3300時間 最大3400時間❶
  • 1ヶ月の拘束時間 改定前 原則:293時間・最大320時間→原則:284時間・最大:310時間❶
  • 1日の休職時間 改定前 継続8時間 → 改定後 継続11時間を基本とし、継続9時間
  • 連続運転時間 改定前 4時間を超えないこと(30分以上の休憩等の確保) → 改定後 4時間を超えないこと(30分以上の休憩の確保)❷
  • 年960時間の時間外労働上限規制が適用

❶1年・1ヶ月の拘束時間を延長するためには労使協定の締結が必要です

❷10分未満の運転の中断は3回以上連続せず、運転の中断は原則休憩とすることが必要です 

 年960時間の時間外労働上限なので、理論上は月80時間の特別条項を年12回とすることが出来ます(現行、他業界は特別条項は年6回までです)。トラック運転手の方は改定後でも一般の方よりも長時間労働・長時間拘束となってます。現行法で問題はなかったのかというと、当然長時間労働による健康問題もあり、過労死等の労災認定件数も運送業が全業種で1番多くなっております。 

ただ、長時間労働の原因については、荷主の状況に左右される場合もあるので、事業主だけの努力では見直し困難なものもあります。

厚生労働省も、国土交通省と連携し、長時間の荷下ろし待ちや、依頼になかった付帯業務などの貨物自動車運送事業法等の違反の原因となるおそれのある行為のある荷主に対して「働きかけ」を強化していくという発表もありました。

少しでもトラック運転主の方が働きやすい環境となるように荷主の方にも協力していただかないと、物流が滞り、荷主が困ってしまう状況になります。わたくしも荷主(楽天市場からの発送)として、絶対に再配達にはさせない!必ず受け取る!宅配ボックスに入れてもらう!ように致します(‘◇’)ゞ

名古屋市守山区 特定社会保険労務士

吉川未佐子

この記事を書いた人