「うちの工場では労災事故が続いている 人数も少ないし安全衛生委員会なども行っていない 労災防止に関してのセミナーやってください」
という事で労災防止のセミナーを企業様で開催しました
それに関連して日本の「安全」に関する考え方と欧米のそれについての比較をご紹介
比較 | 日本 | 欧米 |
原因 | 災害の原因は人 | 災害の原因は技術的問題 |
災害防止 | 努力 | 技術レベル |
対策 | 人の教育訓練 | 設備の本質安全化 |
技術対応 | 見つけた危険をなくす技術(危険検出型技術) | 理論的に安全を立証する技術(安全確認型技術) |
コスト | 安全は基本的に「タダ」 | 基本的にコストがかかる |
重点 | 発生件数重視 | 重大災害重視 |
特に「原因」をどのように考えているのかは特徴的ですね 日本は「人」が原因となっているので「事故が起こらないように努力しましょう」なんて朝礼で言いがちです でも欧米では技術的問題なので、原因の追及は「本質的な改善」を目指していかなければならないというものです
原因を人でかたづけず、真摯に向き合う研究に「失敗学」というものがあります
失敗学とは…(ウィキペディアより)
失敗学(しっぱいがく)または失敗工学[1]とは、事故や失敗が発生した原因を解明し、(将来)経済的な打撃をもたらしたり人命に関わるような重大な事故や失敗が起きることを未然に防ぐための方策を追求する学問[2]。
失敗の原因を究明し、同じ愚を繰り返さないようにするためにはどうすればよいか、という方策を追求・探求する学問であり、さらに、こうして得られた知識を社会に広めることで似たような失敗を起こさないための方策も探求する学問である。
以下3点が失敗学の核となる[要出典]。
- 原因究明 (CA: Cause Analysis)
- 失敗防止 (FP: Failure Prevention)
- 知識配布 (KD: Knowledge Distribution)
提唱者は(失敗学のすすめ) 著者・畑村洋太郎。「失敗学」という命名をしたのは立花隆。畑村を会長に、特定非営利活動法人・失敗学会が2002年に設立された。
とあります
畑村洋一郎先生は「2004年の六本木回転ドア巻き込み事件」の原因究明のための「ドアプロジェクト」が有名です
六本木回転ドア巻き込み事件解説動画
この事件では6歳の子供が被害にあったのですが、当時のテレビでは「母親が手を離してはいけない」とか「ちゃんとみておかないといけない」といった意見もありました
根本的な原因は人ではなく(子供がとっさに動くのは想定しなければならない)回転ドアの構造的な問題でありその原因を追究したのが「ドアプロジェクト」です
本質安全化をめざすような安全衛生の話し合いが災害撲滅の第一歩ですね
災害対策セミナーご希望のかたはご連絡ください(ただ、安全衛生コンサルタントではないので、一般的な項目となります)
名古屋市守山区 特定社会保険労務士 吉川未佐子