行きはよいよい帰りは怖い

iDECO改正再びです。

 以前ブログでも紹介しましたが、iDECO改正で確定拠出金額が変更となり、他DB制度と併用している方については拠出金額が増額できるようになりました。こちら行きはよいよいですが…

今回は帰りが怖い改正

iDECO受取時の税制改正となります

そもそもですが、iDeCoは原則60歳から受取を開始できます。その際に受取方法も自分で選択しますが、一時金か年金、もしくは一時金と年金の併用から選択します。一時金を選択した分については、退職金となり退職所得として計算、年金を選択した分については公的年金となり雑所得となります。

今回の改正はこの一時金で受け取った場合の改正です

所得税法施行令には

第七十条 法第三十条第六項第一号(退職所得)に規定する政令で定める場合は、次の各号に掲げる場合とし、同項第一号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、当該各号に定める金額とする。

二 その年の前年以前四年内(その年に確定拠出年金法に基づく老齢給付金として支給される一時金の支払を受ける場合には、十九年内。以下この号において同じ。)に退職手当等(前号に規定する前に支払を受けた退職手当等を除く。)の支払を受け、かつ、その年に退職手当等の支払を受けた場合において、その年に支払を受けた退職手当等につき第六十九条第一項各号の規定により計算した期間の基礎となつた勤続期間等(同項第三号に規定する勤続期間等をいう。以下この条において同じ。)の一部がその年の前年以前四年内に支払を受けた退職手当等(次項において「前の退職手当等」という。)に係る勤続期間等(次項において「前の勤続期間等」という。)と重複している場合 その重複している部分の期間を法第三十条第三項の勤続年数とみなして同項の規定を適用して計算した金額

とあります。税理ではないので詳しい説明を省きますが、要するに60歳でiDECOを受け取り5年間空けて会社退職金を受け取れば、退職所得控除のうち在職年数について、iDECO受取期間が控除されず、両方の退職金でフルで計算できます。逆に60歳で会社退職金を受け取った場合には、退職所得控除をフル計算するためにはiDECO受取を19年空ける必要があります

ですが!!この「5年」が、「10年」に改正となります。

そのため‥60歳でiDECOを受け取った場合(というか、iDECOは60歳より前には通常受け取ることができません)次の退職金は70歳で受け取らないと退職所得控除がフル計算できないことになります。企業の退職金制度や支給のタイミングを今後考える機会が増えるかと思います。

将来設計をする人のイラスト(女性)

どれだけ遅くても65歳で引退させてよ(T_T) わたくしのHPはそのころはとっくに0よ

70歳まで働く社会の実現のためか…税制優遇を「ずるい」と考えて公正な課税を目指しているのか…取りやすいところから取ろうとしているのか…国の意図は分かりませんし、批判する立場にもありません。      私にできることはルールを知ること、そのルールでいかに立ち回るかを考えるかだけです。

名古屋市守山区 特定社会保険労務士

吉川未佐子

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