厚生労働省から、令和5年12月11日に開催された「第188回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」の資料が公表されました。
議題は、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」と「雇用保険制度について」です。
今回は雇用保険の適用拡大について改正内容をお伝えします
●従来、適用対象とされてこなかった週所定労働時間20時間未満の労働者について、雇用保険の適用を拡大し、雇用のセーフティネットを拡げることになりました。
具体的には、2028年度(令和10年度)中に週所定労働時間10時間以上の労働者まで適用範囲を拡大する予定です。
これに伴い、被保険者期間の算定基準も変更となる予定です
●被保険者期間については現行通り、離職日から2年間に被保険者期間が12か月以上(特定受給資格者又は特定理由資格者の場合は1年間に6ヶ月以上)のままですが、1ヶ月として被保険者期間に算入されるための基準について、現行の「離職日から1ヶ月毎に区切っていた期間に賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上又は労働時間80時間以上ある場合」から「離職日から1ヶ月毎にぐぎっていた期間に賃金の支払いの基礎となった日数が6日以上又は賃金の支払いの基礎となった労働時間が40時間以上」となるようです。
失業認定基準及び自己の労働により収入がある場合の取り扱いについては
●現行では「原則として労働した日のうち労働時間が4時間以上の日については失業認定を行わず、4時間を下回る日については自己の労働によって得た収入額に応じて減額したうえで基本手当を支給する」ですが、改定後は「労働時間が1日2時間以上の日については失業認定を行わないが、2時間未満の労働で得た収入は簡素化の観点から収入調整は行わない」となりました。
自己都合離職の給付制限期間等でも改定がある予定です。
●正当な理由なく自己の都合により離職する者に対する基本手当の給付制限については、現行では「2ヵ月」となっていますが、令和7年度から「1ヶ月」に短縮することになります。ただし、給与を目的とした早期退職行動を誘発しないように、現行の5年間で3回以上のの正当な理由のない自己都合離職の場合には給付制限を3ヵ月とする取り扱は維持されます
社会保険だけでなく雇用保険にも改正がつづきます
名古屋市守山区 特定社会保険労務士
吉川 未佐子