令和6年10月より社会保険の適用拡大の幅が広がります。令和4年10月に社会保険加入者101名以上の事業所について、社会保険適用拡大制度対象企業となっていたのですが、令和6年10月に51名以上に対象企業が拡大となります。パート労働者の方について、今後の働き方を考えなければならなくなります。
で、その説明会を企業様ご依頼で開催しました
今回、説明会に参加された方は、年収130万円の範囲で勤務して、配偶者の扶養となっている方です。言わずもがなですが、扶養者と同居の場合、年収130万円未満で収入が扶養者の収入の半分未満ですと被扶養者となり、配偶者の場合は国民年金第3号被保険者として、保険料負担なく国民年金が加入となります。
適用拡大の話題もありますが、そもそもの第三号被保険者制度についての制度改正の議論が進んできておりまして…2023年5月、日本労働組合総連合会(連合)が、年金制度の第3号被保険者について廃止も含めて検討するとの方針を打ち出しております(20年ぐらい前から似たようなことを社会保障審議会なども言っておりましたが、労働組合側から「廃止」という言葉が出てきているのは驚きです。)
国民年金第3号被保険者の制度は1985年の年金制度改革で導入されました。それ以前は、「専業主婦モデル」という夫の長期間就労を前提として、夫への年金で夫婦二人の老後生活をカバーするという考え方で設計していました。なので、扶養者の専業主婦は、年金制度の強制加入対象とせず、国民年金に任意加入できる制度となっていました。そのため、専業主婦の国民年金納付率は低く、離婚した時や障害を負った場合に、保障されない問題がありました。その当時は年金財政にも(今よりは当然)余裕があったので、第3号被保険者の費用負担については、独自の負担を求めることとせず、被用者年金の被保険者全体の保険料拠出によりまかなうという制度ができたわけです。
(主に)女性を救う制度が、その後、短時間労働者が第3号被保険者に留まろうとして就業調整を行う原因となり、女性の就労や能力発揮の障害となっているのは皮肉です。
そのときに費用徴収していれば… 第三号制度ができて40年、時代の移り変わりを感じます。
今後の年金議論に注目しましょう。
名古屋市守山区 特定社会保険労務士
吉川 未佐子