裁量労働とは、業務の性質上、その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難な業務について、労使協定であらかじめ定めた時間労働したものとしてみなす制度です。業種により「専門業務型裁量労働」と「企画業務型裁量労働」があります
専門業務型裁量労働…定められた業務(現在19業種)
企画業務型裁量労働…業務の運営に関するもので、企画・立案・調査分析の業務
専門業務型専門業務型裁量労働制には「税理士」「弁護士」「公認会計士」などがありますが、「社会保険労務士」はありません。以前勤務していた会社で「どうして?」と聞かれたときに言葉に詰まった思い出があります(遂行方法が裁量ではないのでしょうね(*´Д`)司法書士や行政書士は対象ではないですし…)
改正内容ですが、
- 専門業務型裁量労働制の対象となる業務に、銀行又は証券会社における顧客の合併及び買収に関する調査又は分析及びこれらに基づく合併及び買収に関する考案及び助言の業務(いわゆるM&Aアドバイザーの業務)が追加されます
- 労使協定で定めなければならない事項に以下の項目が追加で必要になります
- 制度の導入に当たって労働者本人の同意を得なければならないこと
- 制度の運用に労働者が同意しなかった場合に不利益な取り扱いをしてはならないこと
- 制度の運用に関する同意の撤回の手続き
- 同意又は同意の撤回の記録を労使協定の期間満了後3年間保管
- 企画業務型裁量労働制の場合、対象労働者に適用される賃金・評価制度を変更する場合に、労使委員会に変更内容の説明をおこなうこと
- 企画業務型裁量労働制の場合、運営規程に下記の項目が追加で必要となります
- 制度の実施状況の把握と運営改善を行う旨
- 労使委員会は6ヶ月毎に1回開催
- 定期報告の頻度は労使委員会の決議の有効期限の始期から起算して初回は6ヶ月に1回、その後1年以内に1回となる旨
※すでに裁量労働を採用しており、2024年4月以降も継続導入する場合は2024年3月末までに労働基準監督署に協定届・決議届の届出が必要です(個別同意も必要となります)
制度導入されている企業様は現在の協定が有効期間内でも届け出が必要ですのでご注意ください
https://www.mhlw.go.jp/content/001080850.pdf
名古屋市守山区 特定社会保険労務士
吉川未佐子