まだまだあります年収の壁。あまり知られておりませんが、実際はこちらの壁が意外と大きかったりします。
それは「家族手当」の壁! 配偶者(一般的には夫)の会社から支給されている配偶者の手当が、支給されなくなるのでそれ以上働けないというものです。配偶者の手当は一般的には5000円から10000円となっているので、年間では大きな金額になります。
では、最近の家族手当はどのようになっているのでしょうか?
国が発表している「職種別民間給与実態調査」の手当の支給状況のデータをみると、企業の家族手当の支給状況がわかります。
令和2年度データを見てみると、家族手当制度がある企業は全体の75.9%で事業規模によても大きな差はありません。ただ、配偶者に家族手当を支給する企業は500名以上100名未満の企業では92.9%ですが、500名以上の企業は73.3%になり事業規模が大きくなるにつれて配偶者に支給する割合は減ります(全体では79.1%です)
配偶者の収入による手当制限があるかどうかですが、45%の企業が103万円で制限をかけており、31%の企業が130万円でかけております。(配偶者の収入による制限がない企業も13%います)
令和4年のデータはどのように変わったかといいますと…、家族手当制度がある企業自体は75.3%でほぼ変わっておりませんが、配偶者に家族手当を支給する企業が73.3%と令和2年の79.1%から減少しています!
家族手当の収入による制限は、令和4年では46.7%が103万円、34.3%が130万円で制限をかけていて、これはあまり変動ありませんが、「配偶者の収入による制限がない」と答えた企業は、令和2年では20.9%でしたが令和4年は26.7%と上昇しています
この2年間のデータの変動を私なりに考察しますと、
- すでに家族手当がある企業は存続している(新規採用する企業は少ない?)
- ただ、どの家族を支給対象とするのかを変更している企業が増えている(特に大企業から)
- 配偶者に対する手当は減少傾向。存続させる企業は「配偶者の年収上限」を撤廃する流れ
ですね。家族手当支給の総額が少なくなると不利益変更の問題が出るので、制度の中で現状に対応していこうとすると上記のようになるのはうなずけます。
名古屋市守山区 特定社会保険労務士
吉川 未佐子