学ぶには短く休むには長いGW 2022②

これも買ってはいたが、読まずに置いてた一冊 でも読みだしてから突然タイムリーな一冊に

ジェームズ・R・チャイルズ著 最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか

500ページあるのでかなり時間がかかりました(内容もかなり重いですし)

 本書では原発事故、航空機事故、スペースシャトル爆発などなど… 実際に起こった致命的な事故にたいして、だれが悪いのか?という観点ではなく、事実の積み重ねを通じて「なぜこの事故が最悪の結果になったのか」が書かれています ここに登場する人物(事故の当事者)たちは決してサボっていたわけではなく、むしろ優秀と言われる人々です 当然事故回避のために全力を尽くしています(自身の命もかかっていますから)でも最悪の事態は発生した… なぜか?

 最悪の事故が起こったときには必ずヒューマンエラーが存在します しかし、それがただ一つの事故原因があったとしてもそれは本人が思うに「ささいな」ミスだったことが多いです 例えば、ねじの長さを誤ってすこし短いものを入れてしまった、上司から「早くしろ!」と言われて、試運転の一部を省略するなどなど エラー・危険行為が意図的だった場合には、必ず理由があります

 まさか、スリッパを誤って別の所に脱いだだけで、自分が搭乗していた潜水艦が浸水し、自分含めて搭乗者全員死亡の事故が発生するとは思わないですよね(スリッパがハッチに引っ掛かり、しっかりと扉が閉まらなかったのが原因でした)

 複数のエラーが絡み合っている場合は、さらに「ささいな」ミス(思い込みや、伝達漏れ、いつも行っている作業なのでマニュアル無視、睡眠不足など)が重なって大事故が起こります

 本書にかかれているヒューマンエラーは様々な類型があり、これらを事故前に完全に防止することは不可能なのではないのか?と読んでいて思います (警報装置をたくさんつければいいのでは?ということで、たくさんつけたら、いっぺんに警報装置がなって人間が対処できなくなった事故もあります)仕事を人間に合わせていくのではなく、人間に仕事を合わせていかなければなりませんが、高度な技術の取り扱いになると、人間の能力に限界があります

今の人間にできることは、起こってしまった事故を二度と起こさないように、起きても最小限の被害にとどめられるように、どのようにすればよいかを考えることしかありません


「労働安全衛生法の条文は「血」で書かれている」という言葉があります  

先人の尊い犠牲があり、今の規則があるのです 

規則を遵守していただく指導を通じて、不幸な事故を一つでも少なくしていくことがわたくしができることなのだな と考えております

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