建設業に関する最近の動向・取組

「建設業に関する最近の動向・取組」という資料を拝見しました(令和3年11月・国土交通省の資料です)

建設業界の労働条件の今について、興味深い資料が多くありましたのでご紹介します

最近の動向・キーワードはこんな感じです

●長時間労働が常態化

●現場の急速な高齢化と若者離れが深刻化 →将来の担い手の確保が困難 

資料の内容は

①建設業就業者の就業者・労働時間について 

●建設業就業者は

55歳以上が36.0% 29歳以下は11.8%と高齢化が深刻に なっています(全産業では55歳以上31.1% 29歳以下16.6%)

全産業に比べて高齢者が多い(若者が少ない)理由は休日・労働時間に原因の1つがあるかと思います

●建設業の休日状況(技術者)は建築工事業で47.5%が4週4休(もしくはそれ以下)となっていて、他産業では当たり前になっている週休2日制もとれていません(4週8休となっている企業は建築工14.2%です)

●年間労働時間は2018時間で製造業の平均1914時間と比べて約100時間程度多く、また年間休日日数は246日で製造業の230日に比べて16日多くなっています

②建設業就業者の賃金について

 ●賃金については、建設業男性全労働者の年間賃金総支給額が4729.9千円(生産労働者4623.9円)で、製造業男性全労働者5587.8千円(生産労働者4786.9千円)と大きくは変わりません。(全産業男性労働者は5609.7千円です)

 ●年齢階層別の賃金水準については、45~49歳でピークと迎えます(製造業は50~54歳です)体力のピークが賃金のピークとなっている側面があり、製造業のようにマネジメント能力等が賃金に反映されておりません

冒頭のキーワードを解決するためには、①賃金上昇率2%の実現に向けた取り組み

(2025年に建設業賃金が製造業賃金に追いつくためには年平均2.2%の賃金上昇が必要で、さらに今後の担い手不足確保のためには賃金上昇の継続が必要)と②建設業の働き方改革の推進(工期を適正化し長時間労働の是正を図る取組や、監理技術者の専任の緩和、牽制制度の見直し等で建設現場の生産性を向上させる取組)が進められています

少子高齢化の影響が強く出ている製造業では、待ったなしの対応を行う必要があります

特に技術者の継承については、一朝一夕でできるものではないです

技能労働者の労働条件改善・賃金引上げ→労働単価の上昇→適正利潤の確保→競争力強化→労働条件改善・さらなる賃金の引上げという好循環を進めて行くことが必要となります

ところで…

建設業の賃金上昇率が2013年~2019年平均1.2%で、建設業が2.7%だったそうです

全然関係ないですが、72の法則というのがあります 金融業界ででてくる数字でお金が2倍になる期間が分かる簡単な算式です 72÷金利で計算します

これを先ほどの賃金上昇率に当てはめると

建設業界 72÷2.7=26.6年

製造業  72÷1.2=60年 正社員が定年退職(60歳)となるまで約40年ですので

製造業では平均でも最初の賃金から2倍にはならないことになります

学卒新人の平均年収が大卒325万円、高卒260万円です

平均の数字だけで計算すると、建築業に高卒で入社された方が44歳で年収520万円、大卒では39歳で年収511万円 製造業では大卒の方が59歳で505万円、高卒では年収500万円になることはない(最大でも418万円)となります

机上の空論ですが、日本はお給料の上がらない国になってしましました

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