改正民法について、労働部門への影響について①

民法が明治29年の民法制定から約120年ぶりの大改正がありました 平成29年5月に成立し、令和2年4月1日から施工されています

労働関連への影響を確認するために、弁護士先生が講師をされている勉強会に参加してきました

民法は私人間の権利義務などを一般的に定めた法律で、労働契約も私人間の契約の為、本来は民法が適用されますが、民法が一般法・労働関係法は特別法という関係になるため、特別法が優先的に適用されます

なので、特別法(労働関係法)に定めがない場合、一般法である民法が適用されます(例えば、損害賠償請求や期間の定めのない雇用契約の解約申入れについて)

改正民法の労働部門への影響

①期間の定めのない雇用契約の解約申入れに関する条文(民法627条)

  1. 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。 
  2. 機関によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以降についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
  3. 6か月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約申入れは3か月前にしなければならない

⇒第2項「使用者から」という文言は入りました これより労働者が退職を申し入れた、基本的に2週間を経過することで退職の効力が発生します

※使用者からの解約(解雇)は特別法である労働基準法第20条が適用されます

では、就業規則に「30日前までに退職届を提出しなければならない」と記載した場合はどうでしょうか?

⇒「法は、労働者が労働契約から脱することを欲する場合にこれを制限する手段となりうるものを極力排斥して労働者の解約の自由を保障しようとしているものとみられ、このような観点からみるときは、民法第627条の予告期間は、使用者のためにはこれを延長できないものと解するのが相当である」(高野メリアス事件・東京地裁昭和51年10月29日判決)

 とあり、就業規則に記載があっても、2週間という民法の規定が適用されることになります

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